生産方法について
開拓農民さながら、化学肥料や農薬の多投のあげくに耕作放棄や遊休となった畑に、微生物の住む家作りから始まります。
毎年完熟堆肥を投入して深く耕耘しながら、天然のマグネシュウムやカルシュウムなどのミネラルも調整していきます。すると、日照りでカチカチ、雨にはズブズブとぬかるむ畑も、3年くらいでふわふわ感の土に変わってきます。有機質を豊富にかかえこんだひなびた匂いに覆われていきます。こうして、病害虫にも強く美味しい野菜を育てる健康な土は、少しずつ育まれていきます。
生育の早さを追求のあまり土の窒素成分を過多にすると、害虫にとってたんぱく質原となるオイシイ野菜となり、食害されてしまいます。また収量を増やそうと密植したり、雑草をはびこらせると、風通しが悪くなり病原菌の温床となったり、害虫を天敵から守ることになったりします。
有機農法は難しいものではありません。野菜の持つ力を信ずること、野菜と会話していま何を欲しているのか聞き取り適切な世話をしてあげることだけです。
しかし、わずか50年間の近代農法で破壊された農業と食文化を有機農業として再生するには課題山積です。里山は荒廃して堆肥になるはずの落ち葉は集まりません。外国産野菜が、いち早く円高差益還元セールで取り扱われます。有機農業の発展は、社会全体の変革とともに進みます。